多次元政党支持と政策支持・政治家への支持の関係
　　　　　　　　　　　−政界再編時における大学生の政治認知
                      （『選挙研究』、第10巻、1995年、41−59頁）
　
　本論文では政治支持と政策選好、政治家への評価の関係性を議論することで、
日本における１９９３年総選挙以降の政界再編時において政党システムが今来し
ている時にどのようにして人々が政党支持を持つようになるかを分析した。
　筆者は１９９３年の総選挙の前後２回に渡り、学部学生に対して各政党ごとに
政党支持を５点尺度で測定し（多次元政党支持）、同様に種々の政策への評価と
政党党首への選好についても５点尺度で測定した。
　これらのデータの因子分析結果の比較を用いて、本論文では政党支持の多次元
構造を実証し、また最も好む政党をリストから選択するといった従来の質問形式
によって測定された政党支持（択一的政党支持）と比較し、その指標性のよさを
検証した。
　さらに因子分析に加えて重回帰分析を行うことにより、ミシガンモデルでは独
立に扱われていた政党支持・政策選好・政治家の評価の３変数間に関連性が認め
られることを示した。ここから政党構造の枠組み自体が変動しているために政党
間の支持関係から有権者の投票に込める意図が分からないような場合には、政策
や政治家への期待の布置から意味解釈が行うことが可能であることを示した。